勉強法

まず、私の傲慢さを告白しようと思う。

努力すれば成績は上がる、と信じていたことだ。

これにより、生徒に悲しい思いをさせていたかもしれない。もしそうなら非常に悔やまれることである。

塾でバイトをしていて最も悲しい事の一つは努力している生徒の成績が上がらないことであろう。

良い先生がつかなかった、家庭環境が劣悪である、重い病気を患っている。成績が上がらない理由は探せばもっとあるだろう。

しかし、こういった場合を除けば、努力していても成績が上がらないのは、勉強法が間違っているからではないか。

そこで、彼らには正しい勉強法を実行し、成績が上がる喜びを味わってほしい。その先の目標を達成してほしい。

 

ここで本題である。

正しい勉強法とは何か

インターネットの検索エンジンで調べれば数多くの勉強法が紹介されている。何が正しいのか、あるいは最適なのかを判断することは難しい。

 

この記事は、私が自分の生徒に伝えたい勉強法を事前に書き出しておくという役割を担うものである。

なんかそういうデータあるんすかとか言われてもない。

中高生の五教科(国語・数学・英語・理科・社会)を想定している。

細かいことは書かない。特殊な例は対象外である。

最大公約数的な要素を上げているに過ぎない。

 

予防線はこのくらいにしておこう。

転ばぬ先の杖が刺さらぬうちに書いていく。

 

【全教科共通】

モチベーションを上げよう

勉強するときに目標を設定すると意欲が上がりやすい。

目標の例(下に行くほど短期)

・地方公務員(上級)になる

・○○大学に入学し、卒業する

・共通テスト・二次試験で○○○点とる

・次のテストで○○点とる

・今日参考書のp.○○-△△をやる

テストで○○点とれたら自分にごほうびといった、報酬による意欲向上もある。

友達と競うのも一つの方法だが、相手はよく選ぼう。相手に宣言しない方が勝ったとき相手を傷つけないが、負けたときに感じる悔しさも小さくなりがちで、良し悪しである。

友達と勉強するならクイズ形式で問題を出し合うと良い。ゲーム化することで勉強に対する抵抗が減るうえ、暗記しやすくなる。

勉強をルーティン化すると意思決定の回数を節約できる。ToDoリスト(やることリスト)を作って優先度順に並べ、上から実行する方法もある。このとき一つの項目を小さく設定するとよい。例えば、500ページある参考書を1日2ページのペースでやる、つまりリストには「参考書を2ページやる」が250個。このように一つの項目を設定する。

(意欲)>(心理障壁)のとき実行するとして、意欲を大きくする方法、心理障壁を小さくする方法があるということである。

 

しっかり寝よう

健康状態が良くなる。

寝不足の頭で考えるよりも速く、正確。

記憶の定着もしやすい。

特別な理由がない限りしっかり寝よう。

 

インプット・アウトプットしよう

問題を解くためにすべきことは大きく2つある。

インプットとアウトプットだ。

片仮名の言葉をあまり使いたくはなかったのだが、非常に簡便であるからこう書かせていただく。

インプットとは

「新たな知識・技術を身につけること」

アウトプットとは

「持っている知識・技術を活用すること」

と(この記事では)言い換えてよい。

正確で迅速なインプット・アウトプットを行うことが理想である。

スタープラチナを想像すると分かりやすい。頭の中がスタープラチナということである。

 

問題を考える上でのポイントを見つけられるように勉強しよう

テストの問題は解けるようにできている(ごく一部の悪問を除いて)。どこかに正答するための手がかりがある。

初見の問題を答えられないのは、このポイントを見つけられないことが大きな原因である。

数学を例にとると、チャートという参考書には「指針」という部分がある。他の多くの参考書にも同じような部分がある。利用していただきたい。

 

暗記を効率的にしよう

記憶を効率的に定着させるにはいくつかの方法がある。

・回数をこなす

単語と出会った数だけ定着しやすい。

・まとまりで覚える

接頭辞、接尾語など。

インパクトや物語で覚える

インフルエンザはinfluence(影響する、影響)が由来。星や寒気が原因と考えられていたから、と言われている。通例、fluといえばinfluenzaである。

ゴールデンレトリバーのレトリバーはretrieve(回収する)が由来。ゴールデンレトリバーは猟犬として獲物を回収する役割だったため。レトリーバーのほうがretrieverの発音に近い。

今回は語呂合わせもインパクトにくくった。

 

板書に集中しすぎない

授業中ノートを取ることに精一杯で、内容の理解まで頭が回っていないことが往々にしてある。できるだけ授業で理解するよう努めよう。美しいことではなく、使用者の理解を助けることがノートの本懐である。過度に汚いと理解を助けないから注意すべきである。最低限自分が読める字で書こう。

 

テストを成績を上げるための手段として活用しよう

テストの点数で一喜一憂することに終止してはいけない。テストの誤答を、楽観的にも悲観的にも見ない。これは困難なことであるが、心がけてほしい。

自分がなぜ間違えたのかを解明しないと成績は上がらない。逆に言えば、自分の間違いを修整できれば成績は上がる。その意味で、テストは宝の山である。

テストの復習の主たる目的は解答を丸暗記することではない。解き方を学ぶことである。問題のポイントがどこにあるのか、自分で見つけられるようになるために。

「次にまたこの問題がテストに出たら正解できるか」という視点で復習するとよいだろう。

 

無知を恥じない

知らないことは恥ずかしいことではない。知らないことをそのままにするのが恥ずかしいことなのである。勉強する意欲あるものをバカにする環境はできれば抜け出すべきである。間違ったときにはむしろ「また賢くなれちゃうぜ」くらいの気持ちでいた方が良い。

 

目指す理解度は「他人に説明できるくらい」

他人に説明するためには自分がある程度深く理解していることが必要だ。他人に説明するときには多くの場合、感覚を伝えるのは困難であり、論理的であることが求められる。逆に言えば、他人に説明できればある程度理解していることが担保される。

 

以下はおまけ的な要素である

テスト直前ルーティンを決める

私は両肩を5秒上げてその後力を抜く、ということをしていた。精神安定したい方はぜひやっていただきたい。もちろん他の行動でも良い。

机に向かわない時間も勉強する

歩きながら暗記は良い。安全な場所でどうぞ。ステッパーを利用するのも良い。私は本を読むときもステッパーを踏んだりすることがある。他に、移動中はもちろん、風呂トイレでも勉強する人がいる。過度にストレスがかかる場合は推奨しない。

複雑に考えすぎない

ほとんどの難しい問題は既存の知識の集合である。段階を踏んでひとつひとつ考えていこう。英作文でも難しい単語や文法を無理をして使う必要はない。

好きな文房具を使う

文房具が好きな人はもとより、あまり興味がない人も、お気に入りの文房具を使うと良い。

 

【国語】

本文に出てきた知らない漢字や言葉を覚えよう

漢字の勉強は費用対効果が悪いという輩もあるが、捨て置いてよい。もちろん、やたらに難しい漢字や言葉を覚える必要はない。自分の目標に合う水準のものを覚えよう。これは英単語にも言えることである。古典を読むときには背景にある文化、価値観を覚えておこう。

 

本文に書かれていることを正しく理解しよう

これが一番難しい。

筆者の主張や登場人物の心理に関する問題もまた、解けるようにできている。その際、自分の解釈を根拠にしてしまうことは誤答を招くことが多い。解答の根拠は本文にある。それが本文のどこにあるかは、練習を繰り返せば見つけられるようになってくる。解説を読むのはもちろん、学校や塾の先生に聞くことは有効な手段である。

 

【数学】

計算を速く、正確にできるようになろう

四則演算は数学の基礎である。これを速く、正確に行うことで、取り組める問題の数は飛躍的に増える。立式にかけられる脳の容量が増え、ミスが減る。式変形の際にも、一行で変えるのは一つのこと、とした方がミスは減る。

数学は立式と計算が大部分を占める。ミスをしないことは非常に重要だ。

 

解法を暗記しよう

とにかく多くの問題に触れることが必要だ。参考書をひと通り見るのが良いだろう。自分の目標水準にあったものを選ぼう。

高いレベルを目指す者は、定理の証明にも目を通した方が良い。深い知識を得る事ができるだろう。

 

【英語】

単語、基礎文法を覚えよう

ここで言う単語とは熟語も含む。

英文を読むために最低限の文法は覚えなければならない。

単語は毎日取り組むと良い。品詞・使い方や不規則変化、単複同形などに注意して覚えよう。

洋楽や洋画を楽しむという目標も立てられる。その場合、会話表現・くだけた表現も勉強しよう。

 

長文を読もう

文章中には必ずと言っていいほど知らない単語が出てくる。学年を重ねても同じである。推測できるようにできているはずであるから、まずは調べずに読み通してみよう。解き終えた後で調べる。知らない文法についても同じ。

次に精読する。精読とは、文を正確に読み取ることである。文法を特に意識して読んでいく。主語、動詞、目的語というように分けながら。時間をかけて読んでいく。慣れてくると、初見の文章を読む速度が上がる。

 

【理科】

暗記をしよう

理科は暗記することが多い科目だと感じる。

化学分野ならば原子番号1から20はもちろん、頻出の反応式、化学式の決定、炎色反応、イオン化傾向有機化学の構造式の決定など、ざっと挙げただけでこんなにもある。分野ごとにまとまりを作って覚えると良い。

高いレベルを目指す者は、周期表の第4周期+金銀銅のあたりも覚えておくことが期待される。

物理分野は公式を覚えた上で、式の立て方が難しい。解法暗記して演習を繰り返すのが良い。

生物分野も暗記することが多いのは他と共通している。

 

【社会】

暗記をしよう

社会は言うまでもなく暗記することが多い。

歴史分野はある程度物語化された歴史が覚えやすい。物語化というのは、実際は膨大な数の要因が複雑に絡まった上での行動も、単一の原因による単一の結果のように取り扱ったりすることである。批判する者もあるが、捨て置いて良い。歴史家になりたければそのとき加えて勉強すれば良い。

地理分野も暗記することが多いが、グラフの読み取り、活用する方法を覚えるのは重要である。

公民分野は意味を考えながら覚えると良い。どうしてこの権利が生まれたのか、なぜこのような仕組みが使われているのか、など。